カルマと霊的進化

 

 日本には「袖振り合うも多生の縁、善因善果、悪因悪果、因果応報」など、カルマと生まれ変わりの法則を意味する言葉が少なからず存在する。しかしながら、それらの言葉の背景にある輪廻転生を真実のものとして受け入れている人はごく少数であり、大半の人は、陳腐な迷信くらいにしか考えない。

 私たちは前世を記憶していない。前世を記憶しているという人にも、めったにお目にかからない。また、たとえ前世を記憶していると主張する人がいたとしても、私たちは相手にしないか、変人扱いするのが関の山。

 肉体のどこを解剖しても、「魂」を見つけることはできない。科学の主張が正しいかに見える。哲学はとうの昔に魂を否定する側に回った。一部の仏教は「仏陀は霊魂や輪廻転生を否定された」と主張し、霊魂や輪廻転生を否定することで、さも理性的な宗教を装おうとしている。

 最崇高神クリシュナの神の詩「バガヴァッド・ギーター」は、人間として、一つの生命として、この宇宙に存在することの素晴らしさ、崇高さ、神秘を、私たちに啓示し、悟らしめ、決して枯れることのない「存在の希望」で私たちを満たしてくれる。

 私たちが人間としてどれほど惨めな状況にあったとしても、宇宙を創造した「至高な存在」は私たちに働きかけ、私たちを守り、私たちに「存在の神秘」を開示し、喜びの世界に導いてくれる。私たちがそのことを深く信じることをバガヴァッド・ギーターは可能にしてくれる。

 それは日々、あなたが存在することの神秘の啓示であり、崇高さを経験する道となる。あらゆる経験が──たとえそれがカルマに由来する病気であったとしても、あるいは人間関係の苦しみであったとしても、あるいは真理探究の苦悩であったとしても──あなたの魂の成長を促す機会であることを説く。

 

我(が)を落とす

 霊的進化において、利己的思考は利他的思考へと進化する。仏教の説く「貪瞋痴」の三毒をそぎ落とし(我を落とし)、自然に「我が、自分が、私が」という意識から解放され、真理をそのまま受け入れることが可能となる。この自己を克服する普遍的な道は「愛」しかない。愛とは利他であり、自己への執着と対立する力。愛は自己を超え、霊に至る普遍的な道。

 愛は性より高く、慈悲は愛より高い。性は基本的欲求の充足であり、愛は条件や代償を含んでいる。慈悲は、無条件、無償の愛。性は自我の充実に寄与し、愛は自我の進化と完成、つまり、自己実現に寄与する。慈悲は自我超越/自己超越(トランスパーソナル)へ導く。自己超越者の性と愛は慈悲だけである。無条件、無償の愛によってのみ、すべての意識と行動が全うされる。

 私たちはその神聖なる神の道を「クリシュナ意識」と説く。しかしそれはクリスチャンにとっては「キリスト意識」であり、仏教徒にとっては「仏陀意識」なのであり、それは宗教宗派の枠を超えて存在する普遍的な力といえる。いかなる信仰を持っていようとも、道に倒れた人に私たちが愛をもって手を差し伸べるなら、私たちの内に不思議な力が湧いてくる──それが「神意識」と言える。

 目の不自由な人のために愛をもって本を読み聞かせるとき、あなたの心に不思議な喜びが湧いてくる。悲嘆に暮れる人に慰めの言葉をかけるとき、あなたの言葉には不思議な力が宿る。他者から酷い仕打ちをされようとも、それを愛をもって耐えるとき、あなたの内に不思議な忍耐が湧いてくる。いったい、この不思議な力はどこから来るのか。

 それはあなたの内に発動された小さな愛が、宇宙にある「神意識:クリシュナ意識/キリスト意識/仏陀意識」の愛と共鳴し、その神意識の愛があなたを支え、あなたを通して流出しようとすることの証。そしてその愛が、そのままあなたを霊の意識に引き上げる。愛は、神の元に帰還する道として完成された。すなわち、あなたが「愛する」という行為によって霊的世界に帰還するとき、あなたは神聖なる神の道を歩みはじめる。

 

霊的理想実現のために

 霊的理想実現のために自分にあるものを使い始めると、その実現の機会が与えられるようになる。たとえ小さな機会であっても、そこに自分の最善を尽くす。目の前に与えられた機会は、宇宙があなたのために備えてくださったものだと受けとめて、それを大切に活用する。

 徐々に機会は多く大きくなっていく。こういうときは往々にして、何か自分が優れた者になったような気分になりがちだが、それらの機会を自分の手柄とせず、むしろそのような機会を与えてくださる「宇宙」を讃えるようにする。霊的理想の内に自己をなくし、限りなくエゴをそぎ落とす。

 霊的理想を表現する機会が増えると、自分の人生が宇宙との深い交流の上に営まれているという実感が湧いてくる。自分の人生の上に宇宙の豊かな配慮を感じ、その証拠を人生のあちこちに見つけられるようになる。霊的理想に自分の人生を一致させようとすればするほど、交流は深まり豊かになる。後はどれだけ一致させられるか、どれだけそこに人生を傾注できるか、それによって私たちの未来は決定されていく。

 あなたは自分の持ちうる最高の理想を見出し、その理想に対して人生を活かしている限り、恐れるものは何もない。それ以上の生き方はできないのだから。しかもその鍵はあなたの内にある。人生の扉を開く霊的理想を、ぜひ自分のものにしてください。私たちは全身全霊であなたの霊的進化をサポートいたします。

Chandrika Chihiro
Catharsis Therapist|Yoga Therapist
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