赤ん坊は
内に泥棒を持っていないから、
外に泥棒を見ません。
すべての知識がそうです。
世界の悪とそれのすべての罪のことを話しなさるな。
自分がまだ悪を見なければならないことを、
お泣きなさい。
──スワミ・ヴィヴェーカーナンダ
ヒツジライオンのはなし
えさを探していた、身ごもった雌ライオンについての話があります。
ヒツジ（羊）の群れを見て、彼女はそれにとびかかりましたが、そこで死んでしまい、母親のいない子ライオンが生まれました。それはヒツジに養われて彼らとともに大きくなり、草をたべてメエメエとないていました。そして、やがて一頭の十分に成長したライオンになったのですが、自分はヒツジだ、と思っていました。
ある日、もう一頭のライオンがえさを探しにきて、このヒツジの群れの中に一頭のライオンがおり、ヒツジといっしょに逃げていくのを見てびっくりしました。彼はこの”ヒツジライオン”に近づいて「おまえはライオンであるぞ」と言ってやりたいと思いましたが、哀れなけものは、彼が近づくと逃げて行ってしまいました。
それでも彼は機会をねらい、ある日、”ヒツジライオン”が眠っているのを見つけました。彼はそれに近づき、「おまえはライオンだぞ」と言いました。相手が、「私はヒツジです」と言ってメエメエなくので、彼を湖のほとりまで引きずって行き「ここをごらん、おまえと私の影だ」と言いました。
・・彼はライオンと自分の影とを見くらべ、一瞬のうちに、自分はライオンである、ということを悟りました。ライオンは吠えました。もう、メエメエとはなきませんでした。
あなたはライオンなのです。清らかで、無限で、完全な魂なのです。宇宙の力はあなたの内にあります。
なぜ、泣くのか、わが友よ。
あなたには誕生もなければ死もない。
なぜ、あなたは泣くのか。
あなたには病もなければ不幸もない。
ただ、あなたは無限の空である。
さまざまの色の雲がその上に来て
しばらく遊び、それから消える。
しかし空はいつも同じ永遠の青である。
なぜわれわれは悪を見るのか。
われわれは、
自分が内に持っているものを外に見るのです。
赤ん坊は、
内に泥棒を持っていないから、
外に泥棒を見ません。
すべての知識がそうです。
世界の悪とそれのすべての罪のことを話しなさるな。
自分がまだ悪を見なければならないことを、
お泣きなさい。
そしてもし世を助けたいと思うなら、
それを咎めてはいけません。
それを、それ以上弱くしてはいけません。
なぜなら、
何が罪なのでしょう、
何が不幸で、
何がこれらすべてのものなのでしょう。
弱さの結果以外の何ものでもありません。
世界はそのような教えによって
日増しに弱体化されつつあるのです。
人びとは子供時代から、
彼らは弱くて罪びとである、と教えられています。
彼らに、彼らはすべて、
この上もなく弱い者のように見えている者たちさえも、
栄光に満ちた不死の子なのである、
ということを教えなさい。
ごく小さな子供のときから、
積極的な、強い、助けになる思想を
彼らの頭脳に注ぎ込むようになさい。
あなた自身、人を弱め、麻痺させるような者でない、
このような思想を十分取り入れるようになさい。
あなた自身の心に向かって、
「私は彼である、私は彼である」とおっしゃい。
うたのように、
それを夜昼心の中に響かせなさい。
そして死の時には、
「私は彼である」と宣言しなさい。
それが真理です。
世界の無限の力はあなたのものです。
あなたの心を覆っていた迷信を、追い払いなさい。
勇敢になろうではありませんか。
真理を知り、真理を実践せよ。
ゴールは遠いかもしれない、
しかし目覚め、立ち上がり、
ゴールに達するまで止まるな。
──スワミ・ヴィヴェーカーナンダ『ギャーナ・ヨーガ』
＊私は彼である＝私は神である
＊数カ所”みなさん”を”あなた”に置き換えています。
これが「霊的探求」の結論、私たちが辿り着くゴールです。
すべての存在は、「一なるもの」の多様な顕れです。
すべての人は、ライオン（神＝一なるもの）です。
しかし、ほとんどの人は、
自分はライオン（神）ではなく、
ヒツジ（人間）だと信じて生き、死んでいきます。
あなたの真の本性は「自分は神である」と悟ること。
あなた自身が、ライオンであることを思い出すこと。
神の創造物である人間としての ”ワタシ”。
神による創造の世界における人間という被造物として、
対象としての神を信愛するという二元論者である ”ワタシ” を超えて、
人間が到達した最高の叡智、アドヴァイタ（不二一元論）の世界へ。
そこに到達しなければ、
完全に自由なる存在であられる「神」との合一はあり得ません。
自も他もない不二一元（非二元）の世界への理解は、
神の領域に入って行く（真理への悟り）には絶対必要不可欠です。
そうでなければ、
私たちが、
ヒツジ（人間）ではなく、
ライオン（神）であった、と
完全に悟るまで、
私たちの人間としての顕れは、
因果の法則に縛られた存在として、
今までと同様、これからも永遠に続くことになります。
奇跡
奇跡とは
この「宇宙」というヴェールに
隠されていた故郷の光（魂の記憶）が
あなたの心に届く瞬間のこと
A miracle is the moment when
the light of Heaven (memory of your soul) ,
which has been hidden by the veil of the universe,
reaches your heart.
リアウェアネス
あなたはふたたび思い出す
自身のなかに眠る
魂の記憶を──
