よだかの星

 

果たして、生きることとは、他の命を奪うことなのか?
赤い世界から逃れ、青い世界へ。そして天の星になる。

 醜い鳥のよだかは、醜い、みすぼらしい、鳥の面汚し…と、鳥の仲間に馬鹿にされ、気位の高いタカからは、「なぜおまえがタカを名乗るんだ。名前を変えないなら殺すぞ」と脅され、生まれ故郷の森を去る。

 そして太陽に「死んでもいいからそばにおいて欲しい」と懇願するけれども、よだかは夜の鳥なので、星に頼むように言われます。よだかはいくつかの星に向かってお願いしますが、願いは聞き届けられませんでした。

 さらに「自分は、羽虫やコガネムシなど、たくさんの命を勝手に奪っていたのに、タカに殺されまいと逃げている」という矛盾に気づいてしまうのです。

 ぐんぐんと空に向かって飛び、羽が凍り付くほど高くまで来たとき、よだかは力尽きます。気がつくと、よだかは自分のからだが青く美しい光になって、静かに燃えているのを見ました。その魂は天へと昇り、星となりました。

 賢治は、自らが生きていくことが、他の命を奪うことになるという罪悪感に生涯苦しみ、菜食を始め、創作活動にのめりこんだ。その苦悩から、このような作品群が生まれたのです。

 ひとの幸せは、安楽に暮らせたかどうかでは計れない。

 

Radha Chihiro
AHIMSA / Nonviolence Raw Vegan, Catharsis Transmuter, Jnana Yogi, Meditator
テキストのコピーはできません。